2、政府の役割は?
政府はイノベーションを起こそうと頑張っているが、役人が考える程度のことは誰だって考えている。政府はあまり規制をせず、ばかげた挑戦をやりやすくする環境を整備すべきである。
3、学術の大切さ
イノベーションの基礎は学術である。学術が希薄で技術導入だけやっていても、やがて枯渇するのは明らか。学術は時間がかかる。次の150年で日本が浮上するためには、かなり思い切ったことをやる必要がある。
政府は出口ばかり考えている。政治家が短期間で成果を求めるのは世界共通。だからこそ、基礎をしっかりとやるべき。
「文部科学省の科学研究費補助金(科研費)は研究者が自由な発想で研究できる予算だが、過去10年で科研費は少しずつ減っている。科研費の増額がなにより重要である。
4、目的が決まっている研究
目的が決まった研究費はイノベーションを生むお金の使い方とは言えない。研究者を型にはめてしまうので、とんでもない発想を生み出せない。がん免疫薬につながったPD―1遺伝子の研究も、もともとは自由な発想から始まった。最初からがんに効くと考えた人は誰もいなかったが、結果的にはイノベーションを興すことが出来た。
5、若手研究者を支援する基金の構想
京都大学に基金を立ち上げて若手研究者の自由な研究を支援したい。ノーベル賞の賞金は、この基金に入れられるようと思っている。
製薬会社からも、がん免疫薬の売り上げから一定割合を基金に入れるように要望している。
6、産業界に必要なことは?
日本の大企業は政府がてこ入れするので潰れず、新陳代謝が起こらない。それに対して米国の企業は新陳代謝が起こっている。これでは、若い樹木が育ってこない。
日本の製薬企業は個々の研究開発力が弱いため、目利き力が弱いので、買収してもほとんど失敗する。目利きを育て維持するためにも活発な研究開発が必要である。
7、産学連携について
「生命科学や医学の分野の産学連携は出口で企業が待っていて参画し製品にするが、企業はもっと上流から研究に関わるべきである。
基礎研究は企業が投資できるものではなく、政府が担う。基礎研究の結果として種から芽や枝が出て花が咲きそうな段階に来たら、その後は産業界も費用負担して一緒に応用研究に取り組むべきである。今の産業界は、ほぼ成功が見えてきた段階から初めて金を出している。 それでは遅すぎる。
以上、抜粋。
本庶先生は、ごく少数の理解者しかなかった「がん免疫療法」を一人前のスターに育てた功労者です。
授賞式で、再度スポットライトが当たります。
ブライトパスも、是非ともこの機を逃すことなく、ポジティブIRを連発して欲しいものです。