記事→ブライトパスの成果がなかなか結実しないので、「上場廃止になるのではないか」とご心配の投資家もいらっしゃるようですので、改めて「マザーズの上場廃止基準」について、まとめてみました。
結論から申し上げますと、私見ですが、まだ心配には及ばないと思っています。
まず、「マザーズの上場廃止基準」を確認してみましょう。クリックすると表が出てきますので、「マザーズ」の欄をご覧ください(東証1・2部ではありませんのでお間違えなく)。
「上場廃止基準」日本取引所グループ2017年10月1日更新➡https://www.jpx.co.jp/equities/listing/delisting/index.html
詳しくは、上のファイルの通りですが、ポイントを抜粋しますと、以下の通りです。
1.流通株式時価総額: 5億円未満(上場後10年間は2.5億円未満)(猶予期間1年)
2.時価総額: 10億円未満(上場後10年間は5億円未満)である場合において、9か月(所定の書面を3か月以内に提出しない場合は3か月)以内に10億円以上(上場後10年間は5億円以上)とならないとき 又は 上場株式数に2を乗じて得た数値未満である場合において、3か月以内に当該数値以上とならないとき
3.売上高(注1): 最近1年間に終了する事業年度において売上高が1億円に満たないこととなった場合(利益の額(注2)が計上されている場合及び上場後5年間において売上高が1億円未満である場合を除く)
(注1)「売上高」とは、連結損益計算書に掲記される売上高をいう。
(注2)「利益の額」とは、連結損益計算書に掲記される経常利益金額をいう。
上記1.2.は問題ないでしょう。ポイントとなる項目は3.「売上高」です。
原則として、年間売上高が1億円を超えることが求められています。ただし1億円未満でも、以下の場合は除かれます。
①経常利益が計上されている場合。
②上場後5年間において売上高が1億円未満である場合→上場後5年間は1億円未満でも廃止にはならない。
すなわち①②のどちらかを満たせば、上場は維持されます。
ブライトパスの場合、
①については赤字がすぐに改善されるかどうかは未知数です。
②については、上場日が2015年10月22日ですから、早くても2020年4月~2021年3月の決算で1億円を超える必要があるということです(来年度はまだ5年以内)。上場が期の途中ですから、「早くても」と書きましたが、この点は確認中です。
ブライトパスの過去の売り上げは、2016年3月期822百万円、2017年3月期529百万円、2018年3月期354百万円、2019年度は期中で142百万円ですから、1億円を超えています(上記の但し書きにより、5年以内ですので、1億円を超える必要はありませんが)。
富士フイルムからの治験費用やマイルストーンの売上はなくなりましたが、再来年度の1億円の売り上げはそれほど難しいものではないと思っていますので、②は十分に達成可能だと思われます(私見)。
また、以下は、昨年1月に経産省がリリースした資料ですが、この中で上場バイオベンチャーの抱える課題として「上場廃止基準」について大きくクローズアップされています。
欧米と比較して、バイオベンチャ―にとって「上場廃止基準は足かせになっている」と読める図表が掲載されています(経産省もバイオベンチャーを欧米並みに強く育てていこうという意図はあるようです)。この資料は、とても興味深い内容ですので、是非ご一読をお勧めします。図表が多いので、簡単に通読出来ます。
「上場バイオベンチャーをめぐる金融市場制度の課題整理」平成30年1月15日➡
http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/bio_venture/pdf/003_06_00.pdf