記事→サンバイオが本日後場のあとに「再生細胞医薬品「SB623」慢性期脳梗塞を対象にした米国でのフェーズ2b臨床試験の解析結果の速報について」のIRを出しました。
結果は、残念ながら「有意差なし」でした。
昨年5月17日のブライトパスのIRを思い出します。
この「有意差なし」という虚しい響きはあまり聞きたくはありませんが、統計学的に有意差を出すことの難しさを改めて痛感しています。
ここで、もう一度「有意差」についておさらいしておくのも無駄ではないと思いますので、以下にまとめておきます。
まず、「優位差」ではなくて「有意差」です。読んで字のごとく、「意味のある差」ということです。
「有意差あり」とは簡単に言いますと、「誤差や偶然で生じた差ではなく、意味のある差が間違いなく存在する」ということです。
サイコロの6が出る確率は1/6ですが、Aというサイコロを六回振って6が二回出たら「このサイコロは6がよく出る特別なサイコロだ」とは必ずしも断定できません(偶然だったかもしれません)。しかし、六百回振って6が二百回出たら、「このサイコロは誤差や偶然ではなく間違いなく6がよく出るサイコロだ」と言えます。これが「有意差あり」です。
この「間違いなく存在する」ことを証明するのは統計学的解析です。
一般的な治験では、「p<0.05」が判定基準として使われます。
このp<0.05とは、平たく言うと「治験結果が誤差や偶然である確率が5%未満である」という意味です。
この計算は複雑な統計学的な解析によるもので、ここでは割愛します(カイ二乗検定、信頼区間など)。
ですから「有意差なし」とは、「統計学的に解析した結果、この治験結果は、誤差や偶然である確率が5%以上であった」ということです。
具体的に言いますと、両グループの平均値(または中央値)に差異が出ていても、両グループの曲線がどこかの部分で重なっていたりすると有意差はないと判定されることがほとんどです(二つの曲線がすべての部分で離れていることが必要)。
現行の治験制度には多々問題点があると指摘されていますが、現状ではこのハードルをクリアーすることが必要です。
サンバイオは、株価11710円、時価総額5800億円、PBRは57.3です(本日15時現在)。