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1.「NKT細胞を用いた免疫療法」は、「iPS-NKT」の前段階、すなわち、NKT細胞単独の効用(iPSで増やす前の段階)により、がんを治療するというものですが、この「NKT細胞を用いた免疫療法」は既に厚労省の「先進医療B」に認定されています。
2.まず先進医療について簡単にご説明しておきます。
我国の健康保険制度は、治療の一部に自由診療が混じれば、すべての治療費用が自由診療扱いとなり、いわゆる混合診療は原則認められていません。ただし、「先進医療」に認定されますと、当該先進医療にかかる費用は自由診療で自己負担になりますが、その他の診療・治療等の部分は健保の適用が認められ、患者さんの負担は大きく軽減されます。
現在この「先進医療」は、「先進医療A」が29種類、「先進医療B」が65種類(平成31年4月1日現在)、計94種類の治療方法が認められています(以下添付の表①ご参照)。
これらの治療法は、厳格な審査のもと一定水準の効能が確認できたものが認可されて、限られた条件に合致する患者に対し、特定の病院・施設でのみ実施されています。
3.そして、このBの中に、№8「NKT細胞を用いた免疫療法(頭頚部がん)」と№22「NKT細胞を用いた免疫療法(非小細胞肺がん)」が含まれています。
ちなみに、№2には「12種類の腫瘍抗原ペプチドによるテーラーメイドのがんワクチン療法」も含まれています。そう、ITK‐1です。第三相で有意差なしでしたが、現在でも先進医療Bとして残っています。
4.この先進医療の対象となっている治療法については、定期的に報告が求められ、厚労省による評価が行われていますが、昨年9月23日付の「NKT細胞を用いた免疫療法(非小細胞肺がん)」についての総括報告書が公表されていますので、以下に添付しておきます(以下、表②ご参照)。
「主要評価項目の結果は 事前に定めた基準を超えており、 探索的フェーズの試験 としての 有効性を示唆するエビデンスは得られている。総括報告書にも「この結果 に対して考慮しなければならない点として、症例選択バイアスが挙げられる。(略)選択基準に PS が 0~1であることを設定し、全身状態が良好な症例に対象を絞っ たことも、 本試験の良好な結果に結びついている可能性がある。 」と科学的かつ冷 静に考察した上で、「第Ⅲ相ランダム化比較試験を行う充分なエビデンスとなり得る結果だと判断された」と結論づけられている。潜在的な期待しては「 B」と の判断もあり得るが、現時点では従来医療技術と優劣について結論づけられないという趣旨で「 C」とした。(B:従来の医療技術を用いるよりも、やや有効である。C:従来の医療技術を用いるのと、同程度である。)