記事➡昨日アップされた決算説明会資料をじっくりと読んでみました。
以下、気付いたことを列記します。
1,キャッシュフロー計算書(5P.)
⇒川崎創薬研究所における研究機器購入費用として、185百万円を計上しています。
2、2020年3月期見通し(6P.)
⇒決算報告書にもありましたが、売上見通し4百万円は、研究開発に専念するという決意の表れか。研究開発費見通しは2,417百万円と意欲的な投資額。キートルーダ併用治験も高コスト。
3、現状と次のステップ(11P.)
⇒各パイプラインごとのカレンダーが記載されています。既出の情報もありますが、改めて確認すると以下の通りです。
①GRN‐1201(肺がん、併用):「2020年以降」の中ほどに「p2Stage1」と↓記入。
②GRN‐1201(メラノーマ):「2019上期」の中ほどに「P1データ」と↓記入。
③iPS-NKT:「2019年下期」の最後に「FIH臨床試験入り」と↓記入。
④完全個別化ワクチン:「2020年以降」の最後部に「FIH臨床試験入り」と↓記入。
⑤免疫調整因子抗体:「2019年上期」の最後に「パイプラインリストアップ(順次)」と↓記入。
③は予定通り。
⑤は遅れていますが、今期の上期ですから9月末までには何か出てくるのでしょうか。「順次」とありますので、やはり複数のPLを予定しているようです。
④は、大きな枠組みで進めていく計画のようで、今のところ臨床試験入りの時期は明確には示されていません。「オープン・イノベーション」でしっかりとした体制と計画を構築して進めていくことには賛同します。
4、パイプラインOUT(12p.)
⇒「2018年度で見直しを行ったパイプライン」として、ITK-1とGRN-1301中止について総括しています。残念ではありますが、どちらも妥当な判断です。「中止」でなく「パイプラインOUT」という言葉は初めて使ったのではないでしょうか。バイオベンチャ―には、INもあればOUTもあります。それが当たり前という意味合いも入っているようにも感じます。
5、iPS-NKT: マスターセルバンク型細胞医薬(25~27p.)
⇒今回、マスターセルバンク型であることのメリットを具体的に詳しく解説しています。「世界初のiPSを用いたがん免疫療法」を掲げるブライトパスとしては、ライバルとの差異を説明することが必要です。細胞の均一性・物性評価の明確性・完全作り置き・患者待ち時間なし・・・など、具体的に特徴を説明しています。
リプログラムとマスターセルバンク化の工程を図示して、「10,000+投与分」と他家ACTとの優位性にも言及しています。
理研・古関先生から具体的な情報を入手して、この資料を作成しているように思われます。
6、オープン・イノベーションによる開発(32p.)
→今回の資料で、私が一番注目した箇所です。
「オープン・イノベーション」というWordは、これまでも使われたことはありましたが、この資料の32P.のように、「表題」として「オープン・イノベーションによる開発」と掲げて明示したことは今までありませんでした。
過去の同じページの表題は、昨年11月の決算説明会資料では「完全個別化がんワクチン療法」、2月の個人投資家説明会資料では「国内をリードする研究機関との共同研究組成」という表現でしたので、今回の「オープン・イノベーション」という表題は、一歩大きく踏み込んだ(前進した)表現になっています。
「オープン・イノベーション」は下記参照※
7、まとめ(34P.)
⇒ 次のステップとして
• 複合的がん免疫療法 GRNGRN -1201 ⇨ 臨床試験データ Read -out
• 細胞医薬 ⇨ iPS -NKT 細胞療法が臨床試験入り⇨ 導入・アラインスによるパ構築を計画
• 抗体医薬 ⇨自社創製シーズのパイプ ラン・リストアッップ
• ネオアン チゲ完全個別化ワクチン ⇨ オープン・イノベションで臨床試験入りを目指す -“半個別化”のITK‐1 から、“完全個別化”へ
まとめにも書かれていますが、「オープン・イノベション」というWordが光って見えます。
オープン・イノベーションという言葉が何を意味しているかは、動画で解説されていると思いますが、私がイメージするのは、アカデミア・各研究機関・そしてメガファーマなども含めた巨大な体制が組成され、「完全個別化がん免疫療法」という大きく立ちはだかる困難な課題をスピード感を持って済々と王道で取り組んでいく・・・そのための最良の選択肢が「オープン・イノベーション」という手法ではないか、そんなふうにイメージしています。
この資料全体の印象ですが、ようやく古い衣から脱皮して、遅ればせながらではありますが、新体制で新たなステップへ舵を切り始めた、という印象です。GRN‐1201(メラノーマ)など、古い衣の残像はまだ残りますが、GRN-1201(キートルーダ併用)・iPS-NKT・抗体医薬、そしてオープン・イノベションで取り組む完全個別化ネオアンチゲンなど、一つ一つのPLが順調に進捗すれば、巡航速度に乗って走り出すのではないかと、大いに期待しています。
この資料で永井社長がどのような説明をされたのか、興味のあるところです。
説明ビデオは早ければ明日アップされるとのことですので、週末にじっくり視聴してみます。
決算報告会資料→https://pdf.irpocket.com/C4594/LOUh/h9x0/OaMo.pdf
※ご参考:「オープン・イノベーション」とは⇒
https://kotobank.jp/word/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%83%8E%E3%83%99%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3-1515232#E6.97.A5.E6.9C.AC.E5.A4.A7.E7.99.BE.E7.A7.91.E5.85.A8.E6.9B.B8.28.E3.83.8B.E3.83.83.E3.83.9D.E3.83.8B.E3.82.AB.29