ブライトパス・ストーリー

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記事:iPS-NKT、AMEDが中間評価で「優れている」との評価。

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再生医療実現拠点ネットワークプログラム→https://www.amed.go.jp/program/list/01/02/001.html

②(平成30年度実施 中間事後評価)評価報告書」→https://www.amed.go.jp/content/000047266.pdf

 
記事➡上に貼りました資料は、AMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構オールジャパン体制で研究開発を推進し、日本発のiPS細胞技術を世界に先駆けて臨床応用することを目的としている)が、この5月20日に公開した「iPS細胞研究中核拠点、疾患・組織別実用化研究拠点(拠点A・拠点B)、再生医療の実現化ハイウェイ 研究開発課題評価(平成30年度実施 中間事後評価)評価報告書」です。
 
①は全体の資料。①を開けていただくと、最後のページに②「(平成30年度実施 中間事後評価)評価報告書」がリンクされています。
ここでは、②にスポットライトを当てて、特にiPS-NKTについての中間評価(②の中にPDFがあります)についてご報告します。
 
AMEDは、A拠点を4つ、B拠点を5つ選んでいますが、iPS-NKTは、「B拠点」に選ばれています(A・B拠点の違いなどは、下に貼りました過去記事7月30日付をご覧ください)。
今回の中間報告とは:たとえA・B拠点に選ばれていても、その後の経過が芳しくなければ、拠点から外されたり、研究の方法を再検討させられたりする可能性があります(実際今回も1拠点が大幅縮小を示唆されています)。それぞれ研究期間は10年と定められていますが、今回中間で評価が行われたわけです。
総合評価の結果を見ますと、
A拠点⇒大変優れている:2 優れている:2
B拠点⇒優れている:2 良い:2 計画の大幅縮小が求められる:1
という結果でした。
我iPS‐NKTは、B拠点の「優れている」という評価でした。
まずは一安心というところです。
この中間報告を見れば、当該研究の具体的な進捗状況が判りますので、iPS-NKTの今後を占う上でも貴重な材料となります。
ちなみに、拠点Aの「大変優れている」の2つは、理研高橋政代先生の「視機能再生・・・」と京大高橋淳先生の「パーキンソン病・・・」です。
 
以下にiPS-NKTについての中間報告の評価結果の全文(②にあるPDF)を貼っておきます。太字は私が加工しました。
(iPS‐NKTの)【評価結果】
①研究開発達成状況
拠点内で NKT 細胞由来 iPS 細胞をストックし、iPS-NKT 細胞の製造および品質管理を行う体制を構築した。
また、非臨床試験を着実に進め、抗腫瘍活性、体内動態等についても確認中である。当初使用を予定していたNKT-iPS 細胞株に課題があり、再樹立をすることとしたため、当初計画に対しては遅れがみられる。しかし、非臨床試験はほぼ順調に行われており、キャッチアップに向けた具体的な方策も立てられていることから、計画に対して概ね順調に進捗している。
以上により、本研究開発課題の研究開発進捗は「妥当である」と評価される。
②研究開発成果
本研究成果は切除ができない固形癌の新規治療法開発として、大きな社会的なニーズがある。また、NKT細胞はヒト末梢血液中に 0.01~0.1%しか存在せず、それらを試験管内で治療に必要な細胞数まで増殖させることは、既存技術では達成されていないが、iPS 細胞を用いることで治療に必要な大量の細胞を産生、成熟、増殖させる技術を開発した。さらに、ヒト iPS 細胞技術で作製した NKT 細胞の抗腫瘍効果をマウスの生体内で示すことに成功しており、iPS細胞を用いるNKT細胞療法の有用性を示唆する着実な研究成果が得られている。
以上により、本研究開発課題の研究開発成果は「妥当である」と評価される。
③実施体制
理化学研究所において iPS-NKT 細胞を作製、千葉大学を中心に臨床準備が行われている。企業協力も得ながら開発が進められており、研究開発体制は適切に組織され機能していると考えられる。今後、頭頸部腫瘍だけでなく、腫瘍免疫に精通している臨床機関との連携など、更なる体制の強化が求められる。
以上により、本研究開発課題の実施体制は「妥当である」と評価される
④今後の見通し
細胞製品として適した NKT-iPS 細胞株については樹立中であるが、NKT 細胞標的治療はすでに先進医療B として実施されており、治験申請までの見通しとしては比較的円滑に進むことが期待できる。また、NKT 細胞研究については、代表者らの施設とグループに独自性があり、日本発の治療技術として期待できる。
一方、非臨床 POC については、現状のモデルでは完全に証明できているとは言えず、臨床を反映したモデルでの有効性をどのように確認するかについては検討を要する。単独投与の次に実施する予定のαGal-Cerパルス DC 療法との併用療法に関しては、必要性がやや不明確であり、併用することの意義や、非臨床 POCの取得および臨床試験の進め方などについては、十分に検討することが必要である。がん治療が日々進歩している中で、本治療法の優位性を示すため早期に臨床試験を行い、本治療法の位置づけを確認することが重要と考えられる。
以上により、本研究開発課題の今後の見通しは「良い」と評価される。
⑤事業で定める項目及び総合的に勘案すべき項目
アウトリーチ活動 74 件、論文発表件数 27 件、学会発表件数 81 件であり、適切に実施されている。アウトリーチ活動について、代表機関 11 件、分担機関 21 件と分担機関の活動の方が目立っている。特許出願件数については 0 件であるため、今後の特許出願が期待される。また、スタンフォード大学との人的交流など若手育成が推進されている。
以上により、本研究開発課題の事業で定める項目及び総合的に勘案すべき項目は「妥当である」と評価される。
⑥総合評価
NKT 細胞に関しての先駆的な業績を有するチームによる研究であり、iPS 細胞由来ではない NKT 細胞の臨床試験が先行しているため、本研究の実現可能性が高いと判断される。また、ES 細胞ではなく iPS 細胞を使う合理的理由が明確である点も注目すべきところである。一方で、本研究が目指す治療の意義を理論だけでなく、実験データに基づいて示す道筋が明確になっておらず、その点を今後の計画にしっかりと盛り込む必要がある。
進捗状況としてはやや遅れているが、非臨床データの蓄積は進んでおり、頭頸部腫瘍の臨床試験段階に近づいている治療方法としての切れ味、価格等その位置づけを明確にするため、早期に臨床へ進むことを期待する。本治療法については、がん微小環境のタイプ次第では、十分に求められる治療法になることが期待される。
以上により、本研究開発課題は「優れている」と評価される
 
全文は以上ですが、一部これまで公にされていないような事項も含まれていますので、もう少し調べてみます。
研究の本筋からは離れますが、
・「③実施体制」で「理化学研究所において iPS-NKT 細胞を作製、千葉大学を中心に臨床準備が行われている。企業協力も得ながら開発が進められており」
と、企業協力(おそらくはブライトパス)に言及していること、
・「治療方法としての切れ味、価格等その位置づけを明確にするため」と、承認後の実用化を睨んで価格に言及していること。
・「がん治療が日々進歩している中で、本治療法の優位性を示すため早期に臨床試験を行い、本治療法の位置づけを確認することが重要と考えられる。」と日本発のiPS細胞技術を世界に先駆けて臨床応用することをかなり意識していること。
などに、私は注目しました。
 
まずは、ご報告まで。
 
以下に、AMEDに関する過去記事を添付しておきますので、参考にしてください。
 
 
 
 
 
 
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