記事→7月から着任された岡田医薬品部長の経歴について、詳しく調べてみました。
岡田氏のTwitterにある経歴を参考に、以下の通り、取りまとめてみました。
(✳・・・)は、私が補記した部分です。
職務経験
1.2019年7月 – 現在• 1ヶ月
Director, Head of Clinical Development/医薬開発部長
BrightPath Biotheraeutics Co., Ltd./ブライトパス・バイオ㈱
Tokyo, Japan/東京都千代田区
2.2015年6月 – 2019年6月• 4年 1ヶ月
Head of Manufacturing and Supply(✳製造・供給責任者)
CENTUS BIOTHERAPEUTICS LIMITED(✳世界の製薬業界のリーダーであるAstraZenecaと、バイオシミラー開発に焦点を当てた日本のバイオ医薬品会社であるFujifilm Kyowa Kirin Biologics(FKB)(✳協和キリン富士フイルムバイオロジクス株式会社)との合弁事業)
Tokyo, Japan
3.2015年1月 – 2019年6月• 4年 6ヶ月
Manager, Production Planning Dept.(✳生産計画部長)
Fujifilm Kyowa Kirin Biologics Co. Ltd.(✳協和キリン富士フイルムバイオロジクス株式会社)
Tokyo, Japan
4.2008年4月 – 2015年3月• 7年
Manager, Project Management Dept.(✳プロジェクト管理部長)
Kyowa Hakko Kirin Co., Ltd.(✳協和発酵キリン株式会社)
Tokyo, Japan
Head of Anti-Cancer Group(✳抗がんグループ長)
Project leader of therapeutic monoclobal antibody global development projects(✳治療用モノグローバル抗体グローバル開発プロジェクトのプロジェクトリーダー)
5.2004年4月 – 2008年4月• 4年 1ヶ月
Director, CMC Dept.(✳CMC部門主任、CMC:chemistry, manufacturing and controlの略。広義には医薬品の開発から製造および品質管理までを一貫して行う概念自体をさす。また、承認審査の申請書類に記載される情報を指す。)
BioWa, Inc.(✳協和発酵キリン株式会社の米国子会社)
Princeton, NJ, USA
この経歴を見ると、2004年、米国でのBioWa, Inc.(協和発酵キリン株式会社の米国子会社)を振り出しに、バイオ医薬品の領域を対象として、地道に取り組んでこられたようです。
私が注目したいのは、バイオシミラーで有名な協和発酵キリン(株)等での岡田氏の経験です。
バイオシミラーとは、「先行バイオ医薬品の後続品」ですが、化学合成薬とは異なり、細胞や細菌が作り出すバイオ医薬品は、分子量が大きく構造が複雑で、製造方法が変わると品質に微妙な変化が生じるため、低分子医薬後続品(ジェネリック)の作製よりも、はるかに複雑で困難な作業を必要とします。
バイオシミラーの開発では、特性・品質、有効性、安全性が先行バイオ医薬品と同等/同質であることを示す必要があり、低分子医薬品の後発品 (ジェネリック医薬品)の開発と大きく異なるのです。
- バイオシミラーの場合は後続品といえども、① 製造方法の確立 ② 特性解析・品質確認 ③ 非臨床試験 ④ 臨床試験の全工程において、高い技術に加えてジェネリック医薬品の開発よりもはるかに多くの費用と時間が必要となりますが、岡田氏はこれらの全工程のオペレーションの経験とノウハウを修得しているのではないかと思います。
- ブライトパスは、新薬作製を目指すベンチャーですが、バイオ医薬品作製のこれら全工程に精通している人材は喉から手が出るほど欲しかったのではないかと推察します。
- また、上記4の通り、協和発酵キリンでは「抗体グローバル開発プロジェクトのプロジェクトリーダー」を務められており、近年ブライトパスが注力している抗体医薬に関する経験も抱負です。
岡田新部長と中村SCOとの連携による、新たな展開に期待します。