ブライトパス・ストーリー

バイオベンチャー、とりわけブライトパス・バイオ(4594)についての情報を発信するブログです。細かな情報をより深く過不足なく丁寧に発信していきますので、よろしくお願いします。

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記事:「有意差あり」の壁。

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記事→先日、新型コロナの薬として期待されていたレムデシビルの治験結果が、「有意差なし」であったとのニュースがリリースされました。→https://www.carenet.com/news/journal/carenet/50025

今回は、この「有意差」についてお話します。

まず、「優位差」ではなくて「有意差」です。読んで字のごとく、「意味のある差」ということです。ですから、差が大きいから「有意差がある」ではなく、差は小さくても「差があることが確かである」ことがポイントです。

「有意差あり」とは簡単に言いますと、「誤差や偶然で生じた差ではなく、意味のある差が間違いなく存在する」ということです。

サイコロの3が出る確率は1/6ですが、Aというサイコロを6回振って3が二回出たら「このサイコロは3がよく出る特別なサイコロだ」とは必ずしも断定できません(偶然だったかもしれません)。しかし、六百回振って3が二百回出たら、「このサイコロは、普通のサイコロと比べて、誤差や偶然ではなく間違いなく3がよく出るサイコロだ」と言えます。これが「有意差」です。

薬に言い換えますと「この薬は偽薬(薬を与えない場合)に比べて、間違いなく効果のある薬だ」と、なります。

この「差異が間違いなく存在する」ことを証明するのは統計学的解析です。
一般的な治験では、「p<0.05」が判定基準として使われます(0.05を用いるのがこの種の治験では一般的。pとは誤差の確率を示す)。このp<0.05とは、平たく言うと「治験結果が誤差や偶然である確率が5%未満である」という意味です。
この計算は複雑な統計学的な解析によるもので、ここでは割愛します(カイ二乗検定、信頼区間など)

ブライトパスも、過去にITK-1の第三相で、このp<0.05の壁を達成することが出来ませんでした。
具体的に言いますと、A郡(真薬)とB郡(偽薬)との比較において、中央値は大きな差が出ていても、両グループの曲線がどこかの部分で重なっていたりすると有意差はないと判定されることがほとんどです(二つの曲線がすべての部分で離れていることが必要)。


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この「有意差の壁」は、なかなかくせ者です。しかし、現行の治験制度をクリアーするためには、この高くて厚い壁を超える必要があります。また、「有意差あり」でも、既存薬との差が極僅かであれば、対費用効果の観点から、上市が見送られる場合もあります。

最近では、多くの科学者が「有意差一辺倒はもうやめよう」との意見を発信しています。実際、「有意差なし=この薬は効かない」ではないことは確かであり、「有意差」という物差しだけで計って、素晴らしい新薬を御蔵入りさせてしまうことは避けるべきです。

話しは戻りますが、新型コロナの場合、そもそも既存薬を転用し、自力回復する割合が高く(80%?)、年齢や基礎疾患などのバラつきなど、有意差を見極めるにはもともと難しい課題が重層しており、これで有意差を出すのは至難の技ではないかと思います。政治の世界とは異なり、サイエンスは結論ありきで突き進むと、だいたい結果は芳しくありません。

「“統計的に有意差なし”もうやめませんか」 Natureに科学者800人超が署名して投稿→

https://www.itmedia.co.jp/news/spv/1903/26/news112.html

 

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