ブライトパス・ストーリー

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記事:ブライトパスのもう一つの有望なPL、BP1401について。

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記事→先日、「これからのブライトパスのパイプライン(PL)戦略を占う」という前記事(※①)で、ブライトパスのPLについてお話ししましたが、もう一つの有望なPL、BP1401については触れていませんでした。
株主総会後の説明会動画でも、このPLについては触れていません。
ですが、発表されている論文等を再確認すると、理論・作用機序も合理的で、非臨床試験の途中経過も良好です。
そこで、今回はBP1401について、判り易くポイントをまとめてみました。
ブライトパスが、このPLについてのIRニュースをリリースしたのが昨年の12月24日クリスマスイブでした。
当初はまだPL名は付いていなくて、「このたび研究始めました・・・」的なIRニュースで、しかも内容が難解でイマイチインパクトが小さかったように思います。
2019.12.24 リリース→※②

そして同日付でこの研究論文がリリースされています。この論文は、当時あまり詳細に読まなかったのですが、再読してみると、このPLの価値の高さを知ることが出来ます。
2019.12.24リリース→※③

それでは、BP1401について、以下簡単にご説明します。

ブライトパスのHPのパイプラインの項目のBP1401の欄を見ると・・・・

「”Cold tumor”を”Hot tumor”へ変える免疫調整因子TLR9(Toll-like receptor 9)に対するアゴニスト」と書かれています。
が、これではさっぱり解りません(笑)。

1、Cold tumor”を”Hot tumor”へ

まず、Cold tumor”と”Hot tumor”についてご説明します。

画期的ながん治療薬、オプジーポやキイトルーダなどの免疫チェックポイント阻害剤でさえ、効果を示すのは全体の3割ほどです。では残りの7割になぜ効かないのか?
それは、①T細胞(侵入者に対する体の自然な防御)の絶対量や②T細胞自身が活性化しているかどうか、によるとされています。
例えばキイトルーダが効いた患者さんの腫瘍部分には、T細胞が高レベルで存在するので免疫療法によりよく反応すると言われています。「高レベル」というのはT細胞が沢山あり、それらが活性化しているということです。研究者らはこれらの腫瘍を「熱い・ホット(HOT)」と名付けました。
反対に、例えば膵臓癌では免疫療法はなかなかうまく反応が出ません。これは、腫瘍部分にT細胞の数がそもそも少ないか、または存在していても活性化していいない(COⅬⅮ)状態であると考えられています。この状態を「冷たい・コールド(COLD」と言います。

例えれば、”Hot tumor”は、多くの人が集まり、参加者は元気よく活気に満ちて踊りまくる阿波踊りやねぶた祭りのようなものです。
反対に、”Cold tumor”は、人の集まらない、しかも参加者は真剣に踊らない、過疎化した町内会の盆踊り、のようなものです。

ですから、がん免疫治療を成功させるためには、まずは”Hot tumor”の環境を作り出す必要があるのです。


2、免疫調整因子TLR9(Toll-like receptor 9)


さて、その”Hot tumor”の環境を作り出すために登場するのが「TLR9」です。

TLR9は、特定の自然免疫系細胞のエンドソーム膜上に存在し、ウイルスなどの外来物の侵入を察知する受容体タンパク質です。
がんの治療においては、TLR9 による TLR9 受容体への刺激は、抗腫瘍効果を持つ T 細胞が能動的に賦活化される環境を整えると考えられています。
つまり、”Cold Tumor”を”Hot Tumor”にする効果があるということです。

3、アゴニストとは


次にアゴニストですが・・・
1つの細胞は非常にたくさんの受容体(鍵穴のようなもの)をもっています。、薬(鍵のようなもの)は、その中から必要な受容体を選択して結合します。鍵穴とそれにピタリとはまる鍵との関係です。
BP1401は、この鍵のようなものです。
TLR9の受容体(鍵穴)にBP1401がピタリとハマれば、TLR9は活性化を始めます。この活性化作用を起こす(細胞を活性化させる)物質をアゴニスト(作動薬・刺激薬)といいます。

アゴニストの例を挙げますと・・・
たとえば気管支喘ぜんそく息の発作を抑おさえる薬剤「β(ベータ)作動薬(刺激薬)」(鍵のようなもの)は、交感神経のβ2受容体(鍵穴のようなもの)と結合し、アゴニストとして神経細胞に働きかけることで気管支を拡張させ、それにより空気を通りやすくすることで効果を現わします。

4、BP1401の強み。


TLR9 アゴニストは、現在 B 型肝炎ワクチンとしてすでに米国で承認されており、がん治療薬としては米国を中心とした複数の企業によって臨床試験が進められ、その初期的な臨床上の効果が示唆されてきています。
米国でB型肝炎の薬として既に使われていますから、安全性についてはある程度チェック済みということです。
ただ「もう米国に先を越されているのか?」というと、そうではありません。
ブライトパスのBP1401は、先発社の先を見据えています。
米国で現在開発されている TLR9アゴニストの多くは、その製剤の性質上、腫瘍に直接投与しなければならないという制限があります。
その制限によって
①「適応できるがん種が限定的である」
②「がん免疫反応を腫瘍局所から全身へ波及させるうえで制約がある中で、視覚的に確認できないがんには直接作用させることができない」
③「患部への投与が複数回投与であるため患者の肉体的負担を大きくする」
など、いくつかの大きな課題が残されています。

その課題を克服しようとしているのがBP1401です。
阪大の青枝大貴特任准教授を中心とするグループは、TLR9 アゴニストの有効成分である核酸を脂質に包埋することにより血中内での安定性を高めることで、腫瘍局所投与時の課題を克服するため、静脈投与が可能な製剤の開発に成功しました。

以上の通り、既に米国で臨床でのコンセプトが示されつつある TLR9 アゴニストを、独自のより優れたディリバリーフォーマットにのせた本製剤BP1401は、他剤とは明確に差別化された製品であると言えます。

ブライトパスHPによると、BP1401は 2021 年度中の治験入りを目指し開発を進めているとのこと。

BP1401を取り巻く世界の情報について、ブライトパスは情報発信を積極的に行ってほしいと思います。

以上。

※①→記事:これからのブライトパスのパイプライン戦略を占う。 - ブライトパス・ストーリー
※②→https://pdf.irpocket.com/C4594/yUG5/FCF5/XDdy.pdf
※③→ニュース|IR情報|ブライトパス・バイオ株式会社

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