ブライトパス・ストーリー

バイオベンチャー、とりわけブライトパス・バイオ(4594)についての情報を発信するブログです。細かな情報をより深く過不足なく丁寧に発信していきますので、よろしくお願いします。

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記事:2022年3月期第1四半期の決算短信がリリースされました。直近の既報情報と比較してみました。

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記事➡️8月13日、2022年第1四半期決算短信がリリースされました。
決算内容(売上0、利益▲4億円)は想定通りでした。
定性的情報(主にパイプラインの進捗)に注目しましたが、
以下の二点だけ、直近既報情報(6月25日リリース有価証券報告書)の表記に新たに追記されていました(その他はほぼ同じ表現)。

(1)
③BP1401(TLR9アゴニスト)の解説文の最後に
「現在非臨床試験を進めています」
のセンテンスが追加されています。

(2)
以下の項目がパイプラインの最後に加筆されています。
「⑦その他の開発プログラム
これらに加え、新しい世代のがん免疫を亢進する抗体医薬シーズ等を複数創製し、川崎創薬研究所において研究を進めています。また、国立研究開発法人国立がん研究センターとの間のネオアンチゲンワクチン設計に用いる抗原予測アルゴリズムを新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のウイルス抗原同定に活用する共同研究があります。」

参考まで、以下に今回リリースされた短信に書かれた「定性的情報」の部分をそのまま抜粋しておきます。太斜字が追記されたセンテンスです。

①GRN-1201(グローバル向けがんペプチド※1ワクチン)
GRN-1201は、欧米人に多いHLA
※2-A2型の腫瘍関連抗原ペプチド4種で構成される、米国や欧州を始めとするグローバル展開を想定したがんペプチドワクチンです。より多くの抗腫瘍効果をもつT細胞(リンパ球の一種で、抗腫瘍活性や抗腫瘍免疫促進機能をもつ)を誘導できるよう複数抗原をワクチンとして投与するところに特徴があります。米国でメラノーマ(悪性黒色腫)を対象に第一相臨床試験を実施し、安全性と免疫誘導が示され、現在は同じく米国で、非小細胞肺がんの、免疫細胞にダメージを与える化学療法をいくつも経た患者でなく一次治療(ファースト・ライン)の患者を対象に、免疫チェックポイント阻害抗体ペンブロリズマブとの併用による第二相臨床試験を実施しています。これまでのがんワクチンの開発では、ワクチンで誘導された活性化T細胞が、免疫抑制がかかる腫瘍局所に浸潤したとき「疲弊」(無機能化)してしまうことが、技術課題として挙げられて
きました。そこで、本第二相臨床試験では、ペンブロリズマブをワクチンと併用することで免疫抑制を一部解除し、T細胞が本来の抗腫瘍効果を発揮できるようになることを想定しています。一定の累積症例数に至ったところで、中間評価を行い、目標とする奏効率をクリアしていれば、さらに症例数を積み重ねていきます。米国にお
ける新型コロナウイルス感染状況を受けて、臨床試験は停止や中止をすることなく継続できていますが、症例登録には時間がかかっています。
②BP1101・BP1209(ネオアンチゲンワクチン)
一人一人で全く異なるがん特有の遺伝子変異由来の抗原(ネオアンチゲン※3)に対するがん免疫を誘導する完全個別化ネオアンチゲンワクチン※4です。
がん遺伝子変異量(ネオアンチゲンの量)と免疫チェックポイント抗体療法の奏効が相関することから、同抗体によりネオアンチゲンをがんの目印として認識するT細胞の抗腫瘍効果が高まると考えられています。このネオアンチゲンは患者一人ひとりで全く異なるため、一人ひとりに個別のネオアンチゲンワクチンを製造し投与する完全個別化治療となり、一定の患者層に共通した薬剤を大量製造することを前提とする従来の医薬品とは異なる開発法が求められます。
BP1209は、BP1101の次世代型で、投与されたネオアンチゲンワクチンが体内で効果的にT細胞を活性化できるように、樹状細胞※5とT細胞が会合するリンパ節へのネオアンチゲンワクチン送達能を高めた、樹状細胞マーカー抗体結合ワクチンです。現在探索研究を進めています。
③BP1401(TLR9アゴニスト)
BP1401は、免疫抑制が強くかかる腫瘍微小環境において抗腫瘍効果を持つT細胞が能動的に賦活化される環境を整えるために、樹状細胞の受容体TLR9を刺激するTLR9アゴニストです。がん細胞を攻撃するT細胞が腫瘍局所に存在しない“Cold Tumor”を、それらが多く存在する“Hot Tumor”へと転換することを図るものです。
BP1401は、このTLR9アゴニストの有効成分である核酸を脂質に織り込む脂質製剤とすることで安定性を高め、標的とするTLR9発現樹状細胞への核酸のデリバリーを高めています。現在非臨床試験を進めています
④iPS-NKT(iPS細胞由来再生NKT細胞※6療法)
iPS-NKTは、iPS細胞から再分化誘導したNKT細胞を用い、固形がんを対象とする新規の他家細胞医薬です。NKT細胞は、多面的な抗腫瘍効果(直接傷害/自然免疫の活性化/獲得免疫の誘導/免疫抑制環境の改善)を持つものの血中に僅かしか存在しないため、従来の培養法では細胞療法として機能を保った細胞を十分量確保できない
という課題がありました。そこで、NKT細胞を一旦iPS細胞化することによってiPS細胞ならではの高い増殖能を付与し、そこからNKT細胞に再び分化誘導する技術の開発に成功し、これをがん免疫細胞療法に用いられるようになりました。iPS細胞技術は、現在の患者さん自身の血液から製造開始する自家中心の細胞療法の世界に、ドナー健常人の血液からマスターiPSセルバンクを作製し、このマスターセルバンクから均質な細胞を大量製造する他家細胞療法を可能にしました。
2020年6月から頭頸部がんを対象として、世界でも初となるiPS細胞由来再生NKT細胞療法の医師主導治験が開始されました。固形がんを対象とするマスターセルバンク型の免疫細胞療法には大手製薬企業も参入を表明していますが、臨床試験に進むに当たって先行組の一つとなっております。
当社は2018年に、理化学研究所が進める本開発プロジェクトに参画し、共同研究を進めており、iPS-NKTの独占的開発製造販売ライセンスの導入オプション権を有しています。
当社は医師主導治験を後押しするとともに、医師主導治験に続く企業治験を見据えた製造工程改良を進めています。
⑤BP2301(HER2 CAR-T細胞療法※7)
BP2301は、様々な固形がんで高発現しているHER2抗原を認識するキメラ抗原受容体遺伝子導入T細胞(HER2
CAR-T細胞)療法です。血液がんで70-90%の奏効率に至ることもあり、優れた臨床効果を示し承認されたCAR-T療法を、より多くの患者がいる固形がんへと適応を拡げることを目指しています。
固形がんへの展開には、がん免疫に抑制がかかる腫瘍微小環境においてCAR-T細胞が疲弊し十分に機能を発揮できないという課題があります。この課題を解決するために、当社は信州大学の中沢洋三教授及び京都府立医科大学の柳生茂希助教らと新規CAR-T細胞培養法を共同開発し、これを中沢教授の非ウイルス遺伝子導入法と組み合わ
せることにより、若いメモリーフェノタイプの、体内で長期生存可能で、したがって持続的な抗腫瘍効果発現が期待されるCAR-T細胞の製造に成功しました。
最初の治験対象がん種として小児がんの一つである骨・軟部肉腫を対象とする臨床試験開始に向けて準備を進めています。
⑥抗体医薬
BP1200(抗CD73抗体)、BP1210(抗TIM-3抗体)等がん免疫を成立させることを目指した抗体を複数開発しています。T細胞ががん細胞を殺傷する「がん免疫」の成立を妨げる様々な要因が腫瘍局所には存在しますが、その要因のトリガーとなる免疫調整因子の代表的なものがPD-1/PD-L1です。ニボルマブやペンブロリズマブといった
抗PD-1抗体は、T細胞疲弊を促す免疫チェックポイントPD-1を抗体で阻害することによってがん免疫の成立が可能となることを、科学的に証明しました。抗PD-1抗体はがん治療の革新をもたらしましたが、それでも奏効率はがん種により10-40%であり、残りの抗PD-1抗体で効果が得られない60-90%の患者においても効果が得られる次世
代疫調整因子抗体となることを目指して開発を進めています。現在複数候補の探索研究を進めています。
⑦その他の開発プログラム
これらに加え、新しい世代のがん免疫を亢進する抗体医薬シーズ等を複数創製し、川崎創薬研究所において研究を進めています。また、国立研究開発法人国立がん研究
センターとの間のネオアンチゲンワクチン設計に用いる抗原予測アルゴリズムを新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のウイルス抗原同定に活用する共同研究があります。

リリースされたIR➡️https://pdf.irpocket.com/C4594/wUtl/T772/oAZQ.pdf

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