今回の株価上昇のきっかけとなったIR情報は「理化学研究所に対する、iPS-NKT にかかわる独占的開発製造販売権の導入オプション行使に関するお知らせ」ですが、この「導入オプションの行使」とは何でしょうか?
ブライトパスは、2018年3月に理研から「iPS-NKTの独占的製造開発販売権を導入するオプションを取得」していました。
ざっくりと言いますと、
「オプション権の取得」とは、その研究は成功するかどうかは未知数なので、とりあえず仮契約しましょう。
もし成功しそうになったら本契約(オプション権の行使)しますよ。
というような2段階契約です。
ブライトパスは、2018年にオプション権は理研から取得しているものの、その後このオプション権がどうなっているのか?また、オプションを取得していても、それには通常期限が設けられているので、「期限切れしました」なんていうネガティブIRは出ないだろうか、などと取り越し苦労をしていました。
オプションの「取得」から4年余りを経過して、やっと「実行しますよ」というのが、今回のIR情報です。
なぜ「実行」することになったかというと、それはiPS-CAR-NKTの目処が付いたからだと思われます。
IR情報に以下のようなセンテンスがあります。
「当社は、このプラットフォームを基に、CAR-NKT へフランチャイズ展開する準備も進めてきており、3)の改良製造工程で製造した NKT 細胞に CAR を導入したプロトタイプ CAR-NKT 細胞の最初の非臨床研究データを 2022 年 11 月 8 日~12 日に米国ボストンで開催予定の第 37 回米国がん免疫療法学会年次会議(Society for Immunotherapy of Cancer:SITC 2022)で発表します。
当社はこの度、iPS-NKT のフランチャイズ展開を目指す準備における一つの達成したマイルストーンとして導入オプションを行使します。今後、当社の中核パイプラインとして、開発を加速化してまいります。」
このセンテンスが、永井社長が一番力説したい肝の部分です。
「マイルストーン」という言葉は、通常最終目的に向けてひとつの中間目標を達成した時に使う言葉です。
ですから学会で発表される内容はとてもポジティブな中間目標達成的なものになると思われます。
少なくともブライトパスにとってはマイルストーンを達成した内容のはずです。
もちろん、iPS-CAR-NKTが薬剤として上市されるとしても、まだまだ先の話しですが、ブライトパスがメガファーマにライセンスアウトするための材料である特許取得やポジティブデータは揃いつつあります。そして学会での発表もライセンスアウトには重要な欠くことの出来ない材料(要素)です。
第三者割当ても完了し、上値を押さえる圧力もなくなりました。
過度な期待は禁物ですが、iPS-CAR-NKTに関するこれまでの道筋はまさに「Bright Path」です。
iPS-CAR-NKTが既にライセンスアウトされているiPS-CAR-NKよりも優っていることを示すことが出来れば、展望は広がります。
明日からの株価の動向に注目したいと思います。