昨日、パーキンソン病対応で、iPS細胞療法の臨床試験が京大で開始されるとのニュースが流れました。
この「パーキンソン病、脳血管障害に対するiPS細胞由来神経細胞移植による機能再生治療法の開発」はAMED再生医療実現拠点の「拠点A」に指定されていました。
ちなみに、「iPS‐NKT」は、「B拠点」に指定されています。
まず、AMEDとは
日本医療研究開発機構(Japan Agency forMedical Research and Development:AMED、“エーメド”)の略称で、我が国の医療分野の研究開発およびその環境整備の中核的な役割を担う機関として、平成27年4月に設立された新しい組織です。
基礎から実用化までの一貫した医療研究開発の推進、その成果の円滑な実用化を図るとともに、研究開発環境の整備を総合的かつ効果的に行うためのさまざまな取り組みを行う国立研究開発法人です(要員:371名、30年度予算:1,261億円)。
カバーする対象分野は多岐にわたりますが、とりわけ再生医療は重要分野に位置づけられています。
さて、「拠点A」「拠点B」の違いは、
拠点A=既に基本的な技術開発が完了しており5年以内の臨床応用を目指す拠点。
拠点B=臨床応用までに技術的ブレークスルーが必要な拠点。
と定義されており、いずれも一定期間での達成目標を設定し、それを達成した場合にのみ事業を継続できるステージゲート方式にて実施されています(最長10年間)。
この「A、B拠点」は、AMEDの戦略推進部が策定した「再生医療研究開発2017」で定められており、この「A拠点4つ」「B拠点5つ」の計9つのプロジェクトが、我が国(AMED)が予算を振り分けて重点的に推進していくプロジェクトであると言えますので、この中に、「iPS‐NKT」が選ばれているということは心強い裏付けと言えます。
ちなみに、「拠点A」は、①iPS細胞由来神経前駆細胞を用いた脊椎損傷・脳梗塞の再生医療(慶応大・岡野氏)②視機能再生のための複合組織形成技術開発および臨床応用推進拠点(理研・高橋氏)③iPS細胞を用いた心筋再生治療創成拠点(阪大・澤氏)、そして、今回の④パーキンソン病、脳血管障害に対するiPS細胞由来神経細胞移植による機能再生治療法の開発(京大・高橋氏)
の四つです。
そして「B拠点」は五つあり、そのうちの一つが「NKT細胞再生によるがん免疫治療技術開発拠点」(理研・古関明彦氏)です。
複数の情報によると、「iPS‐NKT」プロジェクトは順調に進展しているようで、ブライトパスのHPにも
「本プロジェクトは、国立研究開発法人理化学研究所が中心となって日本医療研究開発機構(AMED)再生医療実現拠点ネットワークプログラム 疾患・組織別実用化研究拠点(拠点B)に採択された「NKT細胞再生によるがん免疫治療技術開発拠点」プロジェクトおよび理研創薬・医療技術基盤プログラムのプロジェクトとして進められているもので、頭頚部がんを対象とする医師主導治験が2019年度中をめどに開始される計画です。」
と書かれています。
iPS再生医療の先陣が治験を開始し、その治験の経験が蓄積されフィードバックされていけば、、「iPS‐NKT」にとってもプラスになります。
9つのプロジェクトは対象部位など重複はありませんので、順調に進展して来年度には朗報を是非聞きたいものです。
「iPS-NKT」に合わせているカメラの焦点を「理研」そして「AMED」と広げて俯瞰していくと、全体の絵柄の中の「iPS-NKT」の位置付けが、よく理解できます。
→AMEDとは
https://www.amed.go.jp/content/000033777.pdf
→「再生医療研究開発2017」AMED、7ページに山中伸弥氏のコメント。11ぺージに、「iPS‐NKT」(理研・古関明彦氏)が掲載されています。