記事→ブライトパスの各パイプラインの現状を以下にまとめてみました。
ブライトパスのHPにリストアップされているパイプラインは以下の通りです。
①GRN-1201
(がんペプチドワクチン、キイトルーダ併用)
②完全個別化ワクチン
(ネオアンチゲン標的、各種固形がん)
③BP1401
(TLR9アゴニスト、免疫賦活化剤、各種固形がん)
④iPS-NKT
(iPS再生NKT細胞療法、導入オプション(理研)、頭頸部がん)
⑤BP2301
(HER2 CAR-T、骨肉腫)
⑥抗体医薬
(免疫調整因子抗体、複数の自社創製シード)
以上の6本です。
まず、①GRN-1201ですが、メラノーマ対応第一相は安全性等が確認され、今は肺がん対応のキイトルーダとの併用第二相治験が、 ブライトパス主導(ブライトパスの資金で)で米国で実施中です。オープンラベルで実施されており、ITK-1の時のダブルブラインド方式(治験が完了して、ふたを開けるまで結果は誰にも解らない)とは異なり、治験途中でも刻々と治験データはブライトパスに入ってきているはずです。メラノーマ第1相完了のIR(昨年8月5日)でも、
「現在進められている第Ⅱ相臨床試験では、ペンブロリズマブ(キイトルーダ)の併用により、ワクチンで誘導された GRN-1201 抗原特異的細胞傷害性 T 細胞ががん局所でPD1/PD-L1 を介して受ける抑制シグナルから免れることにより、単剤の場合を上回るがん免疫誘導が発揮され、これが主要評価項目の奏効率に結びつくことが期待されます。実際に、第Ⅱ相臨床試験のこれまでの臨床成績は、我々の期待に十分応えるものとなっております。」
とあり、途中経過の手応えに言及されていました。
ただ、GRN-1201は、その名の通りグリーンペプタイド時代のがんペプチドワクチンですので、主要評価項目未達だったITK-1と同類の薬剤ですから、単剤での効用には多くは期待できません。永井社長は説明会で「今回の併用はファーストライン」を強調してITK-1との違いを力説していますが、キイトルーダとの併用が吉と出るか凶と出るかは未知数です。またキイトルーダとの併用治験は世界中で数多(あまた)行われており、余程傑出したピカピカのデータでなければ、メルク(キイトルーダ)から選ばれてライセンスアウトを勝ち取ることは至難の技と思われます。
私見ですが、このパイプラインは、当たれば大ホームランでメルクから莫大なライセンスアウト料やロイヤリティが入りますが、その可能性に大きく期待することは出来ないと思っています。
2月14日リリースのニュースで紹介された米国カリフォルニアで開催された学会での、治験担当医師である Dr. Jyoti Patelの発表内容についての続報に注目したいと思います。
次号に続く。