ブライトパスは、現在の株価は350円前後で、時価総額は約146億円ほどです。
この水準が高いか安いかの判断の一助として、「時価総額と純資産との割合」(PBR)を出してみて、他のバイオベンチャーと比較しました。
株価は「その企業の現時点での価値」、すなわち、純資産だけではなく「期待値」が上乗せされて株価が形成されます。
ですから、株価は人気投票的な側面もあり、前途有望なタレントは、期待を込めて高値が付きます。
この株価に総株数を乗じたものが、「時価総額」です。
時価総額から、今後どうなるか判らないパイプラインなどの「期待値」を差し引いた「ミニマムの裸の価値」は、純資産に近いものではないかと思います。
この考え方から、「現在の時価総額:純資産額の割合」を出してみました。
この値が「2」であれば、「時価総額が純資産の2倍」ということです。
「5」であれば、「時価総額が純資産の5倍」ということで、2倍に比べてかなり「期待値が高い」ということになります。
以下に、バイオベンチャーで時価総額が100億円~300億円の企業を集めてみました。
社名/時価総額(A)/純資産(B)/(A) ÷(B)=M
ブライトパス/146億円/69億円/2.1倍
ソレイジア /270億円/61億円/4.4倍
ナノキャリア/263億円/47億円/5.6倍
ラクオリア /256億円/39億円/6.6倍
オンコセラピ/238億円/76億円/3.1倍
カルナバイオ/135億円/12億円/11.5倍
セルシード /124億円/11億円/10.9倍
シンバイオ / 97億円/32億円/3.0倍
メドレックス/104億円/29億円/3.5倍
※注:時価総額は2018年6月7日終値、純資産はそれぞれ直近の決算報告による。
上記の比較から言えることは、
1.倍率(M)は、全体としては3倍~6倍の間にある。
2.カルナバイオ、セルシードは高い倍率になっている。
3.ブライトパスは相対的に低い水準にとどまっている。➡やはり、ブライトパスの現時点の株価は割安?
時価総額(株価)の形成には、様々な要素が絡み合っていますので、上記の「時価総額と純資産との割合」だけでは測ることはできませんが、客観的なひとつの指標として参考にはなると思っています。
ちなみにトヨタ自動車、東京海上ホールーデイングについて計算しますと、
社名/時価総額/純資産/割合
トヨタ /24兆4,790億円/19兆922億円/1.22倍
東京海上/4兆1,118億円/3兆6,096億円/1.14倍
意外に倍率は低いですが、継続的で安定的なリターンが見込める大企業は、これ位の水準の企業が多いようです。
それに反して、バイオベンチャーは期待値の割合が大きいので、倍率は高いのが一般的です。
バイオベンチャーの優等生ペプチドリームは
社名/時価総額/純資産/割合
ペプチドリーム/5,810億円/122億円/47.6倍
バイオは、収益が安定的に高い水準で見込めるようになると、資産をあまり増やす必要もなく儲かる仕組みが構築されるので、極めて効率の良い「収益マシーン」になるのです。