記事→本日、「理研・横浜市大 一般公開」の古関明彦先生の講演会を聴いてきました。
今回の講演会は、「理研・横浜市大 一般公開」の中のひとつのプログラムとして開催されるもので、学会の講演(口演)とは異なります。
「一般公開」は理研や横浜市大の研究の概要を判りやすく子供を含む一般市民に伝えて、理解してもらおう、楽しんでもらおうという主旨のイベントです。実際、イベント会場に入ると、来場者の3割は子供さんでした。
ですから、古関先生からiPS-NKTについての新たなサプライズ発表があるとは思っていませんでした。ただ古関先生のおおらかなご性格から、「つい口が滑る」という可能性もあるのかな~と思いながら、講演を聴き始めました。
講演は約1時間、受講者は100人ほどでした。
なお、司会者から「研究成果や治験に関わる内容のスライドも含まれていますので、撮影は固くお断り致します」とのことでしたので、やむ無く写メは断念しました。画像添付のご希望もいただいておりましたが、ご希望にそえずゴメンなさい。
講演の概要を以下にまとめてみました。
全体としては、ほとんど新しい情報は出て来なかったと思います。
ただ、以下のコメントは印象に残りました。
1.「臨床試験は他の皆さんにお任せして、IPS-NKTにCAR-Tなどを乗っけて進化させるのが私の次の課題である。」とのコメントあり。これは新たな情報かもしれません(私は初めて聞く話しでした)。「CAR-Tを乗せる」とは?
T細胞に非ウイルス遺伝子導入法(PiggyBac法)でCAR遺伝子を導入するブライトパスの新パイプラインBP2301を彷彿とさせ、進化したiPS-NKTの姿が想像できます。
2.「ヒトの治験はマウスとは大きく異なり、コストも難易度も全く違い、私の想像をはるかに越えていた。私はもともと医学も薬学も専門でないので、ヒトの体を対象とすることがこれほど難しいとは思わなかった。」
治験の予定が遅れた理由として、このようなコメントがありました。治験GMPなどを指しているのでしょうか。
「健常者があらゆる項目で真の健常者であることを証明するのは極めて難しいことでした」というコメントもありました。
3.「iPS-NKTは、がん治療の新たな選択肢の入り口である。」
CAR-Tや免疫チェックポイント阻害薬とどう違うのか?との質問の回答コメントの一節です。CAR-Tや免疫チェックポイント阻害薬は切れ味も良いが副作用もハンパありません。またコストも高い。その点、iPS-NKTは穏やかに効いて副作用も小さい、またコストも比較的安価と言われています。古関先生はiPS-NKTに、CAR-Tや免疫チェックポイント阻害薬とは異なる使命を与えて世に出したいのではないでしょうか。
4.今後のスケジュール表の画面は、2019年に治験申請、2020年の早い時期に第一フェーズ開始と読める画像でした(既にコンセンサスのある「今秋申請、来春臨床試験開始」と合致していました)。
講演の冒頭は、古関先生のお子様が水疱瘡にかかった話から免疫について説明され、そして、NKTの発見からiPS細胞を用いた経緯など丁寧に説明されていました。
全体の流れは、昨年11月の理研(和光)で開催された古関先生の講演とほぼ同じだったと思います。
講演が終わって会場から出てこられた古関先生に短くご挨拶をして、シャトルバスに向かいました。
蛇足ですが、胸板の厚い古関先生は、山中伸弥先生と同じくラガーマンかと思いきや、学生時代はバレーボールをされていたそうです。