昨日のIRの内容をまとめてみると、
1、免疫チェックポイント抗体は、がん治療における有望な選択肢となったが、奏効率はいまだ十分とは言えない状況である。
2、その理由は、
・免疫細胞自体が腫瘍局所に存在しない
・若しくは存在したとしても攻撃できる状態になっていない(”Cold Tumor”)
ので、いくらブレーキをはずすことができても十分な効果が得られないと、考えられている。
3、すなわち、“Cold Tumor”の状態から、免疫細胞を腫瘍局所までちゃんと誘導してがん細胞を攻撃することができる状態、つまり“Hot Tumor”にすることが必要。
4、今、世界中の研究者・製薬企業が様々なアプローチでこの課題に取り組んでいる。
5、がんの治療において、TLR9 アゴニストによる TLR9 受容体への刺激は、抗腫瘍効果を持つ T 細胞が能動的に賦活化される環境を整え”ColdTumor”を”Hot Tumor”にすると注目されている。
6、TLR9 アゴニストは、がん治療薬として米国を中心とした複数の企業によって既に臨床試験が進められ、その初期的な臨床上の効果が示唆されているが、現在開発されている TLR9アゴニストの多くは、腫瘍に直接投与しなければならないという制限がある。
7、そのことで
①適応できるがん種を制限し、②がん免疫反応を腫瘍局所から全身へ波及させるうえで制約があり、③患部への投与が侵襲的であることから患者の肉体的負担を大きくする、
などの課題がある。
8、今回のBP1401は、TLR9 アゴニストの有効成分である核酸を脂質に包埋することにより血中内での安定性を高めることで、腫瘍局所投与時のような制限のない静脈投与が可能な製剤の開発に成功した。
9、既に臨床でのコンセプトが示されつつある TLR9 アゴニストを、より優れたディリバリーフォーマットにのせた本製剤は、開発のリスクを低減しつつ他剤と差別化された製品である。
10、本製剤は 2021 年度中の治験入りを目指し開発を進めていきます。
ざっとまとめると以上のような内容です。
一言でまとめると
「BP1401は、既に効果が注目されているTLR9 アゴニストを、その課題を克服出来るように進化(腫瘍局所投与時のような制限のない静脈投与が可能な製剤の開発に成功)させた製品である」
と言えます。
がん免疫サイクルの空白部分を埋めるPLとしては、予想外の新規PLです。永井社長のコメントから推察すれば、未だ導入されるPLはありそうです。
BP2301の場合もそうでしたが、ブライトパスのPLの選び方は、既に既知となっている最先端の薬剤(療法)をさらに一歩進化させた所にあるような薬剤(療法)をターゲットにしているように思います。
そのことで、他社と差別化を図りライセンスアウトの確率を上げようとの意図が見て取れます。
新たな魅力的なPLの追加であり、歓迎すべきIRですが、この大納会前のタイミングでこのカードを前座として切るのはやはり勿体ないなとも思います。
先日このブログでお話ししましたが、年末年始はマーケットは長期休暇(日本だけですが)となるので、リスク回避や節税対策で売りが先行する可能性があり、マーケット、とりわけ機関投資家がこのIRに素直に反応しない可能性もあります。
本丸は、大発会以降です。
追伸・・・ただ一方で、「年内に何か出しておかんとまずいかな~」という永井社長の独り言も容易に想像できます。
そして、ブライトパス応援団の個人投資家は、買い増しではなく(お腹いっぱいで)静観している方が多いのではないでしょうか。