ずっと気になっていたので、久留米医大がんワクチンセンターに訊いてみました。
ITK-1(膠芽腫)の今後の方向性についてです。
ITK-1(前立腺がん)の第三相は富士フイルム主導でしたから、久留米大からコメントできないのは理解できますが、一方ITK-1(膠芽腫)は久留米大が主導で第三相(90例)まで実施・完了した治験です。
これについては、昨年3月末に第三相治験は完了し、寺崎先生が昨年のASCOで口演を行っています。結果は「主要評価項目で有意差なし」でしたが、その後、昨年6月5日に久留米大がんワクチンセンター伊東先生の名前で「予後不良因子を有する方を除いた集団52例で再度解析を実施したら、有意差が出た」との発表(下段に添付)が出ています。結局、第三相は今のところ延長しているというのが、私の理解です。
ですから、久留米大に「膠芽腫の方は、どうなりますか?こちらは、久留米大主導ですから、久留米大として何らかの発表をすべきではないでしょうか?」と質問メールを送っていました。
昨日、その回答が届き「その件についても、検討中です」との回答でした。
ITK-1(前立腺がん)もITK-1(膠芽腫)も、どちらも主要評価項目(全生存期間)で「有意差なし」と出ましたので、申請・上市の道は厳しいと思いますが、アクセル型のがんワクチンで第三相まで完了した治験は、世界でもこの二つだけではないでしょうか。ですから、事の顛末はしっかりと見届けたいし、今後のがん免疫治療のサイエンスの発展には貴重なデータであることは間違いのないところです。
久留米大は、潔くこのまま諦めるのか、または治験デザインを変更するなどして延長戦に持ち込むのか。
今後の久留米大の舵取りに注目したいと思います。
追伸:久々に昨年6月5日の伊東先生のコメントを読み返しましたが、がんの皇帝と言われる難敵「膠芽腫」で、ここまでの結果を出しているのは、やはりもう少し注目されても良いように思いました。予後不良因子保有者を除いているので、言わば「いいとこ取り」とも見られがちですが、全体90例中52例でのデータですから、十分注目に値します。この結果からして、BBBを通過して効果が出ていることは明らかです。
今となってはITK-1は最先端ではないですが、予防や延命のためのマイルドなお薬、主役にはなれないが安価な併用薬として名脇役となる可能性は、まだ残されているように思います。
久留米大には、そのあたりを狙って頑張って欲しいと思います。
加えて、
もし、富士フイルムからネガティブニュースが出ても「これは折り込み済」と聞き流しましょう!
ITK-1については、もう下はありません。ポジティブニュースが出れば儲けものと考えましょう、笑。
➡久留米大学がんワクチンセンター「新着情報」2017年6月5日伊東先生からの発表内容